はじめまして、ビリケン様のハードコレクターの安藤貴樹です。関東の骨董業者からはビリケンさんと呼ばれています。ビリケン様は通天閣やルナパークなどで有名になり、よく関西出生と間違われるのですが、もともとビリケン様は、アメリカのシカゴ出身なのです。ビリケン様の誕生は1908年（明治41年）。当時、新鋭といっても、まだ名もなきアメリカ人女流彫刻家のE・I・ホースマン（フローレンス・プリッツ）がシカゴ美術展覧会に出品する作品の制作がはかどらず、失意と極貧のどん底にいました。いよいよ締切が数日後に迫ったある夜のこと、ひとりのへんてこな人物が、彼女の寝室に入り「汝、我を彫りたまえ」と言い、枕元にちょこんと座ったそうです。彼女は夢に出てきた不思議な人物を、お告げの通り彫り、そして出展しました。出展当初は鳴かず飛ばず、評価は高くありませんでした。しかし、NYから来たあるバイヤーの目に留まり、版権契約を結び、ビリケンカンパニーを設立して、合金製の貯金箱を製造すると飛ぶように売れ、彼女の生活も安定しました。以来、ビリケン様は幸福を呼ぶ神様と呼ばれています。愛嬌のあるとぼけた顔ですが、ビリケン様は正義の象徴として、アメリカでは法律学校や裁判所のシンボルマークにも使われています。また、秘密結社フリーメイソンのシンボルという一面もあり、多くの謎をいまだに秘めているのです。そんなビリケン様とともに、東北沢レトロコレクションの仲間たちをお楽しみください。私が年月をかけてこつこつと蒐集したかわいい子たちばかりです。